デファクトルールとローカルルール
デザイン成果物を制作するにあたってのルールっていうものにパブリックルール(公式規則)はありません。ほぼローカルルール(局地・局所的な規則)とデファクトルール(事実上の規則)で成り立っています。
制作するにあたって「これ以外は認めません。これを守らなければ罰せられます」ってルールはありません。
よく「公序良俗に反する云々。」と言われますがほとんどがローカルルール
罰せられるとなるとそれは所持禁止等の別の法律や条例が絡んでくる場合です。
そんな訳で成果物を創る為に守らなければならない規則・ルールってほとんどがローカルルールでその場その場で違います。あっちでは良かったけどこっちではダメ。なんてザラです。
成果物作成におけるデファクトルール
じゃあ事実上のルールとなるデファクトルールってどんなものなのよ?
その場その場で違わずこれを守らないと周りから白い目で見られるかも?なルールってのはなんなのか?
印刷物を作るためのデータならIllustratorを使ったai形式のデータでやり取りしましょうね。
仕上がり寸法がわかるようにトンボ(トリムマーク)をつけましょうね
仕上がり寸法の外側に断ち落としとして3ミリ用意しておきましょうね
印刷物のカラーモードはCMYKにしましょうね
とかそんな感じのルールです。
デファクトルールにはレベルがあって、ほぼどこでも適用されるルールから最近(一部のジャンルで)はローカルルールのほうが幅を利かせているっていうルールまで。デファクトといっても「その場による」ってなってしまいます。
成果物作成におけるローカルルール
ローカルルールはその場その場に応じたルールです。その会社その仕事には適用されても他のところでは通用しないかもしれません。
最近増えてきたなってものだとpdfによる印刷データの入稿です。以前はIllustrator形式での入稿が当たり前でそれ以外有り得ない。だったのですが最近のネットプリントサービスなどの(どちらかと言えば)業界外ユーザー向けの印刷サービスで普及しています。
こういったローカルルールはメリット・デメリットがありデメリットを許容するのであれば良いものです。
PDF入稿のメリット・デメリット
メリット
・Illustrator以外でも制作できる
・フォントのアウトライン化が不要
・画像のリンク抜けがおきない
デメリット
・修正が難しい(出来ない)
・若干滲む
特に入稿の完成データがどういう仕様で作るべきか知らない人(非デザイナー)にとってはPDF入稿はありがたいものですが商用美術用データ制作側ではまだデメリットのほうが勝っている状況です。
その他にも印刷系統ではRGB入稿やトンボ(トリムマーク)の有無、イラレのアートボード指定。
WebだとBEM・OOCSS・SMACSSなどの命名規則、SCSSやSASSといったSass言語。等が挙げられます。
ローカルルールの注意点
ローカルルールはあくまでもローカル(局地・局所的)でのみ使用されるものです。
印刷物では印刷会社によってそのルールは変わります。ネットやSNSで紹介されていた、これが普通と書かれていたからと言ってどこにでも通用するわけではありません。
新しいものが通用しない=古臭い会社?
まぁ実際古臭いんだと思います。ですがその古臭さの理由を考えずに古い=ダメと決めつけていませんか?
ローカルルールを使う会社等も企業である以上、コストや利益性、集客性・修正性を考えなければいけません。新しい機械やソフトが出たからと言ってその都度入れ替えていたのではコストがかかるだけでなく、以前の機械やソフトで作った物の修正・再生産が難しくなってしまいます。物によっては億単位の設備投資が必要になってきます。企業が作る物は自宅で自分のパソコン上で多少の変換ロスがあっても気にしない。とは違うのです。
まとめ
成果物を創る為の規則。そのほとんどがローカルルールです。
事実上のルール(デファクトルール)となっているものは守って当たり前のこと。それ以外はローカル・その場その場で違うルールが適用されるという業界です。
自分が「これが正しい」と思い込んでいてもその成果物を受け取る先によっては正しくない場合も出てきます。
今作っているモノの受取先はどういうルールが適用されているのか確認することが円満に仕事をしていく中で重要となってきます。